令和6年度の最低賃金・業務改善助成金について
令和6年度の最低賃金引上げ額の目安
令和6年7月25日に中央最低賃金審議会で、令和6年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が公表されました。
引き上げ額の目安額は、全国一律で50円の引き上げで、上げ幅は令和5年度の43円を上回って過去最大となります。
今後、各都道府県の地方最低賃金審議会で地域の実情を踏まえて審議されますが、県によっては目安額以上の引き上げになる場合もあります。
地域別最低賃金に近い労働者がいる事業者は、最低賃金が改定される10月には賃金の引上げが必須となります。
最低賃金引き上げ時にお勧めの助成金
この時期にお勧めしたいのは、業務改善助成金です。
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資を行った場合に、その設備投資にかかった費用の一部が支給される助成金となっております。
厚生労働省 令和6年度業務改善助成金のご案内より抜粋
業務改善助成金の内容
業務改善助成金の主な内容は下記の3点です。
- この助成金は事業場単位での申請が可能で、店舗や支店、営業所等の地理的に離れている施設であれば、各々で助成を受けることができます。
- 助成金の対象となる条件として、最も大事な要件は、設備投資を行う事業場で最も低い賃金の労働者の時間換算額が、地域別最低賃金の50円圏内である必要があります。
- 対象となる設備投資は、労働者が使用するもので、かつ生産性の向上が図れるものであり、言い換えますと労働時間が短くなることを主張できるものであれば、大半のものは対象となります。通常は、普通自動車やパソコン・タブレットなどの事務周辺機器は汎用性が高いため、助成金の対象外となっておりますが、物価高騰による利益率の減少が一定以上であれば対象にすることができます。
- 助成額は、事業場内最低賃金額により、対象経費の75%~90%で助成額の上限は、引上げ金額と人数で表のように決まっております。
厚生労働省 令和6年度業務改善助成金のご案内より抜粋
助成金の押さえておくべき重要事項
この助成金の重要な事項は下記2点あります。
- 賃金引上げ前までに交付申請(計画書)を労働局に提出が必要であること
- 地域別最低賃金が改定後(令和6年10月)の引上げの場合は、改定後の地域別最低賃金からの更なる引き上げが必要となること
すなわち地域別最低賃金の改定による賃金引上げを助成金に反映させたい場合は、遅くても改定日である令和6年10月より前に交付申請を行う必要があります。(令和5年度は賃金の引き上げ後の交付申請も限定的に認められており、令和6年度も要件が変更される可能性があります。)
逆に言えば、地域別最低賃金が改定される直前の7月から9月にかけての時期が、1年の中で業務改善助成金の最も狙い時ということです。
ご不明な点がございましたら、当事務所にお気軽にご相談ください。
外部リンク
※本記事の記載内容は、令和6年7月現在の情報等に基づいています。 最新の情報をご確認ください。